私たちは、これまで木の駅で収集した木材を、薪として温泉施設などの地域の施設の熱源として利用できる薪ボイラーの導入支援を行ってきました。初めて手がけたものは、恵那市山岡町の花白温泉で、同市の中野方町の木の駅から薪を供給するシステムを花白温泉、NPO法人夕立山森林塾など関係者の方々検討し、それを活用する薪ボイラーを導入しました。当初では、木の駅が経済的に成り立つ価格(6,000円/t)で木材を販売でき、花白温泉の燃料代を低くできる理想的な計画でした。しかし、出た結果は厳しいものでした。今では笑い話ですが、薪を燃やしているのに、重油の使用量が増えてしまったのです。ここから関係者の方と、協議を重ね、手探りで問題の原因を探り、改善を重ね、現在は期待された効果が出ています。
ここから、今後薪ボイラーを導入する地域が同じ失敗を繰り返さないためにも、よくわからないブラックボックスの中身を明らかにして、専門家やメーカー任せきりにならず、地域の使い手が、正しい情報を元に、自分の手で賢く活用する「薪ボイラーの民主化」が必要だと実感しました。その第一歩として、無数の薪ボイラーが運用され、当たり前に利用されている薪ボイラー先進国「ドイツ・スイス・オーストリア」の情報を伝えたいと思いましたが。しかしながら先立つものは何もありません。そのため、地域と森を元気にしたい想いを持つ仲間を全国から募り、カンパをいただく代わりに、現地の情報をお伝えする「森の仲間薪ボイラープロジェクト」を始めました。結果的に約290名の方から160万円をいただき実現できました。(ご支援をいただきました皆様、ありがとうございました。) この訪問では、薪ボイラー使用や薪製造のノウハウ、機器情報、導入のハードルを下げる手法など、薪に関わることだけでなく、欧州の山間地の村で自分たちの地域を守るべく、どう地域経済を作っているのかも見えてきました。 今後は、薪ボイラーの導入ハードルを下げ、失敗を防ぐ取り組みとして、薪ボイラー導入時のよろず相談、薪ボイラーのDIY講座、購入者をつなげる共同購入などのプロジェクトを行う予定です。さらに、持続可能な自治の村づくりを実践し、人口が増えているドイツの山村レッテンバッハ村の村長を招待して全国講演会も行う予定です。このような取り組みから、薪ボイラーから見える持続可能なむらづくりを進めたいと考えています。