科学技術振興機構・社会技術研究開発センター(JST-RISTEX)の環境領域である「地域に根ざした脱温暖化」の一プロジェクトとして2009年9月より実施している事業。 プロジェクト名は、「小水力を核とした、脱温暖化地域社会形成」で、駒宮をリーダーに、上坂(富山国際大学)、丁字(富山高専)、小林(茨城大学)、後藤(農工研)、平野(地域再生機構)、辻口(富山国際大学)、吉原(地域再生機構)が研究スタッフ。
当初は、小水力普及を妨げる様々な工学技術的障壁、社会技術的障壁を明らかにし、そうした障壁をいかにして取り除いていくかの研究を行った。具体的には、戸別発電における諸問題の究明、落差式よりも普及が期待される超低落差対応の螺旋水車の開発・社会実装、コミュニティーユースを目的とした3kW級の上掛け水車の開発・社会実装等工学的研究開発、河川法、電事法、土地改良法等の法的障壁とその対処法を追求した社会技術的研究開発を行なった。
研究後半になり、より実践的課題として、地域主体形成論を、主に石徹白を舞台に展開し、「地域再生」という本質的問題に迫っている。 これは、本プロジェクトにおけるミッションのPDCAである。小水力の爆発的普及を可能とするためには、それを行なおうとする、明確な意志を持った地域主体が必要であり、いかにして良質な地域主体を形成するか、そしてその過程で外部者がいかに機能すべきか等が重要な研究課題となった。
また、本プロジェクトで研究開発された超小型螺旋水車「ピコピカ」は、既に全国に250基以上普及しており、小水力の「見える化」に大きく寄与するとともに、全国各地で行なわれている地域の子供たちによる組み立て講習により環境教育効果、さらには非常時電源としての価値も付加されつつある。最近では、特に無電化地域の多い途上国へのODAとしても検討されている(ミャンマー等)。
参考URL
・JST RISTEX(社会科学振興機構 社会技術研究開発センター)HP
・螺旋式ピコ水力発電装置「ピコピカ」HP